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本の購入と今まで紹介した本

おやじよ負けるな

おやじよ、負けるな
〜12人の息子・娘たちがつづるリストラされた父親への手紙〜

著者:池野佐知子と12人の子供たち

出版社:主婦と生活社

定価:本体1238円+税

 リストラされた家族について取り上げている番組や雑誌などは数多くあるものの、子どもから父親に宛てた手紙というのはめずらしい。子どもたちによって綴られたこの手紙は、リストラされた本人とはまた違った視点から父親のリストラについて語られている。

この本に登場しているのは、9歳から27歳までの12人である。この中には、日ごろ父親とは面と向かって会話もしていなかったり、偉大すぎる父親にわざと距離を置いている子など、立場も状況もさまざまだ。しかし、子どもたちは、父親のリストラを受けて、直接言葉は交わしてはいないが、全くの無関心でいるわけはない。父親に対して何かしてあげられることはないかを自分なりに考えている。エリートで歩んできた親から出来の悪い子とレッテルを貼られていた子どもほど、人の痛みというのはよくわかっているものである。この本には、リストラされる前までは、父親の大きな力に押さえつけられていた子が、今度は逆に父親の痛みを誰よりも理解し諭している。

子どもたちは、周りが思っているほど、悲観的になったり、絶望しているわけではなく、現実を冷静に受け止めて、父親を励ましている。あからさまな慰めの言葉より、淡々と述べられる子供たちの言葉は、何よりも元気の素となるはずである。

この本の最後には、手紙を書いてくれた12人の子どもたちの家族のその後の近況が書かれている。未だに仕事を見つけられずにいる人もいるが、大半は新しい職についているという報告があった。リストラされたことで、まるでその人の人生が終わってしまったかのように映ってしまいがちだが、転職や定年退職後の再就職と同じように人生の分岐点に立っただけのこと。ただの通過点に過ぎないのではないかという気さえしてくる。決して、不安だけを抱いているのではない。今の自分に出来ることを考え、黙って見守っている。そんな子どもたちのさり気ない心使いの込められた手紙は優しい気持ちにさせてくれる。「頑張れ!負けるな!」という子どもたちからのエールが心に響いてくる。自分を見つめ直したい時に読んで欲しい一冊である。

書評:福本美智江
作成:原田真帆